2024/06/13
花粉荷(ビーポーレン)は、豊富な栄養素をバランスよく摂取できる栄養食品として、ヨーロッパや中国では古くから取り入れられてきました。最近では、日本においてもさまざまな効果・効能が期待され、人気が高まっている食材です。
そこで今回は、花粉荷の基礎知識と、期待されている効果・効能、花粉荷のおいしい食べ方について紹介します。また、花粉荷に関してよくある質問をQ&A形式で紹介するため、花粉荷に興味がある人や健康・美容を気にしている人はぜひ参考にしてください。
ミツバチが花の蜜を集めてハチミツを作っていることは知っている人も多いでしょう。
花粉荷(ビーポーレン)は、ミツバチが花の蜜を集める際に、蜜と花粉を混ぜ固めたものです。巣に持ち帰られた花粉荷は、ミツバチの食料やローヤルゼリーの原材料として利用します。
タンパク質やアミノ酸、ビタミン、ミネラルをはじめ、さまざまな栄養素をバランスよく含有しており、中国やヨーロッパなどでは古来より日常的に食べられてきました。
ミツバチが花の間を飛び回りながら蜜を採集する際、体中にたくさんの花粉が付着します。蜜を集めたミツバチの後ろ足にぶら下がっているオレンジ色の大きな球体が、花粉荷です。
ミツバチは体に付着した花粉を少しずつ足で集めながら丸め、蜜などとともに練り固めてだんご状にします。だんご状にされた花粉荷は、後ろ足の先にある「花粉かご」と呼ばれる部分にまとめられ、何本もの花からたくさんの蜜を集めるとともに、花粉かごの花粉荷も大きくなります。
ミツバチが蜜を取りに行く花は、基本的に1匹につき1種類です。 そのため、1つの花粉荷に含まれる花粉も1種類だけであり、複数の花の花粉が混ざっていることは滅多にありません。
花の蜜と一緒に巣に持ち帰られた花粉荷は、巣の中の倉庫である六角形の巣房で大切に保管されます。巣房に保管する際にハチミツを塗ることで、花粉荷の保存性を高めます。
巣房1つあたりに詰め込まれる花粉荷は20個ほど、1匹のミツバチが一度に持ち帰る花粉荷の重さは15~38mgほどです。ミツバチは年間で最大40kgほどの花粉荷を集めます。
保温性の高い巣の中で保管された花粉荷は、乳酸菌などの作用で次第に発酵して「ハチパン」と呼ばれるものへ変化し、やがて働きバチや幼虫にとっての「完全栄養食品」になります。
ミツバチの食料となるほか、女王バチのエサとなるローヤルゼリーを作り出す栄養源ともなるため、花粉荷は非常に重要な食料です。
ミツバチの貴重な食料である花粉荷には、さまざまな栄養成分がバランスよく含まれています。花粉荷の栄養素は、下記の通りです。
さらに、保管する際にハチミツが塗られることで、エネルギー源となる糖質も加わるため、ハチたちにとって花粉荷は完璧な食材です。
しかし、人が花粉荷をそのまま摂取する場合、花粉を上手く消化しきれず、十分に栄養素を取り入れることはできません。花粉の細胞壁は非常に強固であり、何十万年も前の花粉が分解されないまま土の中から発見された例もあるほどです。
そのため、人の消化・吸収機能でも花粉の栄養を十分に吸収できるように、細胞壁を粉砕・加工した花粉荷の健康食品やサプリメントが各メーカーから販売されています。
花粉荷には豊富な栄養がバランスよく含まれているため、さまざまな効果・効能が期待されています。 花粉荷に期待されている効果・効能は以下の3つです。
・回数やキレの悩みを緩和する効果
年齢を重ねるごとに、夜中に何度も目が覚めてしまったり、気分的にスッキリできなかったりする人は少なくありません。花粉荷を食べて不足しやすい栄養素を補うことで、回数やキレをある程度コントロールできると言われています。
・季節の変わり目のグズグズ感を抑制する効果
季節の変わり目は寒暖差が激しく、不安定な天気の影響を受けて、気分も揺れ動きやすくなる人が多いでしょう。普段の食事やお茶に花粉荷を加え、ほんのりとした甘さや香りを感じることで、気分的にリラックスする効果が期待できます。 また、おいしい食事を摂ることで、前向きな気持ちになれるでしょう。
・若々しい日々をサポートする効果
食生活が不規則で栄養バランスが崩れている人は肌が荒れやすくなり、老けた印象を与えることがあります。栄養豊富な花粉荷を食生活に加え、美容に必要な栄養素を補うことができれば、若々しい日々を保てる効果が期待されます。
花粉荷はそのまま食べることもできますが、料理に使ったり飲み物に混ぜたりすると、毎日でも飽きることなく食べられます。 一般的に、下記のような食べ方が好まれています。
<花粉荷のおいしい食べ方>
花粉荷には天然の甘みがあり、料理全般と組み合わせておいしく食べられます。花粉荷の摂取量は、1日に小さじ2杯程度が目安です。
ただし、産地によってミツバチがハチミツや花粉を採集する花の種類が異なるため、花粉荷の味や香りも同じものにはなりません。
購入した花粉荷を食べる際は、最初に味見をしてから相性のよい食べ方を見つけるとよいでしょう。また、花粉荷は熱に比較的弱いため、冷たい食品や飲料のほうが栄養をしっかり摂れます。
花粉荷は豊富な栄養がバランスよく含まれている食材です。 しかし、日本では比較的最近になって流行りつつあるため、馴染みのなさからさまざまな疑問を抱く人もいるでしょう。
最後に、花粉荷に興味を持っている人に向けて、よくある質問をQ&A方式で回答します。
花粉荷の味はほんのりと甘く、食感は少し固めで歯ごたえがあります。 ハチミツほどの強烈な甘さはありませんが、ほんのりとした香ばしいにおいを楽しめます。 花粉荷は小粒のため、そのまま噛まずに食べることも可能です。
ただし、ミツバチが採集する花の種類によって花粉荷の味や香りは異なるため、産地などの違いによって苦みを感じたり香りが合わなかったりすることがあります。
花粉荷の味や香りが気になる場合は、ドリンクやヨーグルトに混ぜると食べやすくなります。
花粉荷の原料は、花の花粉とハチミツです。 以前に花粉やハチミツでアレルギー症状が出たことのある体質の人は、できるだけ花粉荷を食べないほうがよいでしょう。
これまでアレルギーを起こしたことがない人であっても、含まれている花粉の種類によってはアレルギー反応が出る可能性があります。
まずは、1日につき数粒程度の少量を試してみて、体調に変化がないか確かめてから少しずつ摂取量を増やすことをおすすめします。
国産の花粉荷は希少であるため、あまり市場に出回っておらず、価格も高い傾向にあります。ただし、これは国産の商品が優れていて、外国産の商品が劣っているということではありません。単に、国産ハチミツの生産量が少ない分、同時に生産できる花粉荷も少ないことが理由です。
花粉荷は日本では比較的新しい食材ですが、ヨーロッパや中国では古くから親しまれてきました。海外では日本よりも生産が盛んなため、外国産の花粉荷はリーズナブルで手に入りやすく、信頼性や品質に問題はありません。
花粉荷は湿気を吸うと品質が変化してやわらかくなり、カビも繁殖しやすくなります。 そのため、密閉性の高い容器で乾燥剤とともに保存し、使用する際の開封時間は最小限に抑えましょう。
冷蔵庫で保存することが理想的ですが、冬場や涼しい地域で直射日光を避ければ、常温でも保存可能です。
花粉荷を正しい方法で保存して、花粉荷の風味を長く楽しみましょう。
花粉荷は、ミツバチが花蜜を集める際に同時に集めてくる花粉の塊です。 巣の中でハチミツとともに大切に保管され、ミツバチや幼虫の食料・女王バチが食べるローヤルゼリーの栄養源として利用されます。
花粉荷には豊富な栄養素がバランスよく含まれているため、人にとっても有用な食品としてヨーロッパや中国では古くから親しまれてきました。
日本でも注目が高まりつつある健康食品ですが、人によってはアレルギーを引き起こす可能性があります。毎日の食生活に花粉荷を取り入れる場合は、1日数粒から摂取を始め、少しずつ量を増やして体を慣らしましょう。